変形性膝関節症は、ひざの関節の軟骨が傷つくことで、関節に炎症が起こり痛みが生じる病気です。軟骨が傷むと動かしたときの衝撃が吸収できなくなり非常に強い痛みを生じます。50歳代以上の男女、特に女性に多く、40歳代から徐々に増え始めます。
「変形性ひざ関節症」にかかると、ひざの痛みのため、あまり歩かなくなり、脚の筋肉が衰えていきます。ひざを守っている筋肉が衰えるとさらにひざに負担がかかります。早期に治療を受ければ、痛みをコントロールして病気の進行を遅らせることができます。
主な症状は「痛み」「腫れ」「動きづらくなる」です。
1.運動した時の痛み
主な症状は、ひざを動かしたときに生じるひざの痛みです。最初は、立ち上がるとき、歩き始めるときなど、ひざに体重がかかりやすいときに痛むことが多く、もう少し進行すると階段の上り下りのとき、正座したときなど、特別な動作をしたときにも痛みが生じるようになります。じっとしていると痛みが軽くなりますが、病気が進行していくと安静時でも痛みがとれないことがあります。
2.膝に水がたまり、膝が腫れる
関節に炎症が起こり、ひざのお皿の周辺に水がたまります。水がたまるとひざが腫れて、痛みが生じたりひざが動かしにくくなったりすることがあります。
3.膝が動きづらくなる
正座やしゃがむなどのひざを曲げる動作が難しくなったり、ひざを伸ばすことが難しくなったりします。また、歩き始めるときに横にぶれることがあります。
<原因>
はっきりした原因は分かっていませんが、長い期間ひざに負担がかかることで、ひざの関節でクッション機能を果たしている軟骨に傷がつくことが原因と言われています。
1.加齢
ひざに負担がかかる期間が長くなると、「変形性ひざ関節症」を発症しやすくなります。また、関節の中にあって軟骨に栄養を供給しているヒアルロン酸が加齢に伴い減少することで、軟骨が傷つきやすくなると言われています。
2.太りすぎ
人が歩くときには、体重の約3.1倍の負荷がひざにかかります。例えば、体重が60kgの人では約180kgの負担がひざにかかっていることになります。体重が重いほどひざに負担がかかりやすく、軟骨や半月板が傷つき発症しやすくなります。
3.姿勢
猫背など歩く姿勢が悪い場合には、普通の姿勢で歩くときよりさらにひざへの負担が大きくなり、発症しやすくなります。また、日本人に多いO脚はひざの内側に体重がかかることが多くなり、内側の軟骨が傷つき痛みを発症することがあります。
4.運動不足
運動不足で脚の筋肉が衰えてくるとひざに大きな負担がかかってしまい、ひざの関節でクッションの役割をしている軟骨が傷つき、ひざを動かしたときの衝撃が吸収できにくくなって痛みを生じます。
5.性別
女性に多く発症することが分かっています。理由は明らかになっていませんが、閉経などホルモンのバランスも影響していると考えられています。